パソナ女性幹部育成プログラム第6期で講義。情報収集にAIも活用

2021年に始まった、株式会社パソナHRソリューション主催の女性幹部候補育成プログラム(Woman’s Advanced Program:WAP)。全国から企業の女性幹部候補が集まり、3カ月の間、毎月1週間ずつ淡路島の研修所で学ぶ合宿講座です。半年に一度開催されており、私は第1期から「新規事業創出・マーケティング」の分野で講師を務め、第6期まで継続しています。

受講生は人事・労務の方が20%と一番多く、マーケティング・事業戦略が9%、営業・営業推進・営業企画が8%、技術・研究・オペレーションが6%と続きます(1~3期生のデータ)。必ずしもマーケティングに関わる部署ではない方もいます。しかし幹部候補生として会社や市場を俯瞰して分析するには、マーケティング思考が重要であると運営事務局が判断され、継続して入れていただいています。今回は、2024年5月15日と7月3日に、講義を行いました。その一部をご紹介します。

過去の講義はこちら 2021年第1期 2022年第2期 2023年第5期

ワークショップがたくさんのマーケティング講座

目指すのは、マーケティング思考の養成

東証プライム企業から派遣された12人の受講生に、まずはマーケティングの基礎となる4PやSTPの概念を伝えました。身近なコーヒーを例に、「スターバックス、コメダ珈琲、セブンカフェ、最近飲んだ人は?」「それは、いつ?どこで?なぜ飲んだのですか?」等のワークしました。知らず知らずに、味(Product)や価格(Price)、場所(Place)や期間限定品(Promotion)などに惹かれていたことが分かります。

愛用している製品。体を洗うもの、顔を洗うもの。それぞれ

さらに実感していただくために、使っている製品について紹介するワークショップをしました。いつもは一つの製品ですが、今回は体を洗うボディソープと、洗顔用のクレンジングと、二つの利用製品を事前に聞いて、すべて購入し、持ってきました。体を洗うのは、牛乳石鹸など100円台でスーパーで買えるものがほとんどでしたが、クレンジングは百貨店や専門店に行かねば入手できないものが多く、苦労しました。しかも、最高額は14,850円!同じ洗うという行為でも、ボディとフェイスでは、買う場所も出す金額も差があるのが面白いですね。受講生一人一人にそのストーリーを語ってもらうことで、企業のマーケティングに影響されているのか、理解してもらいました。

マーケティング分析に活用できる、生成AI

講座の中で、「最近のマーケティングの変化は?」という質問をいただきました。生成AIの活用は、大きなトレンドだと回答しました。特にマーケティングでは情報収集が重要ですが、生成AIを使うと、効率的に網羅的に行えます。目まぐるしく変化する生成AIの世界ですが、今回私からご紹介したのは下記の3つです。

  1. ChatGPT(一番有名ですね。MicrosoftのCopilotを使えば有料版も一部無料で利用可能)
  2. perplexity(専門領域に強く、引用元が分かるので検証しやすい)
  3. Claude(言葉がこなれていて、寄り添った自然な文章。SNSの文章の参考にしやすい)

生成AIは間違った情報もそれっぽく出す「ハルシネーション(幻覚:Hallucination)」の問題があり、真偽を確認するのに結局時間がかかることがあります。その点、2のperplexityは、どの情報を使って回答を出したかの引用元も詳しく出るので、検証もしやすいです。検索サイトで情報を探して良いものを見つける前段階をしてくれるイメージです。ID登録も不要で、使いやすいですね。

一番きつくて思い出深い、5Force分析

そして7月講座では、「5Force分析からの自社の強み」を全員に発表してもらいました。5つの脅威(業界内での競争、新規参入者、代替品、買い手の交渉力、売り手の交渉力)を分析するためには、様々な角度で調べて、人に聞き、分析しないと発表ができません。WAPのプログラムには様々な課題がありますが、この5Force分析は一番準備が大変なものの一つだとか。一方、自社の魅力を知り、愛社精神が高まる機会になっているようです。

5Force分析の発表は、どの方も力のこもった素晴らしいものでした。受講生から出た質問も鋭いものが多く、そこから議論が広がりました。私からも良かった点や、さらに改善できる点をコメントしました。プレゼン資料の作り方、分析の深さ、論理的な説明、質疑応答の明快さ・・・ほめるところがたくさんありましたね。

ビブリオバトルでチームビルディング

そして最終イベントとして、ビブリオバトルの開催しました。組で選んだ本の良さを説明し、聞いた人が「読みたくなった本」を投票してチャンピオンを決めるものです。準備して話し合うので、チームビルディングの機会にもなります。私から紹介したのは、下記の10冊。最近の本・古典など、経営学やマーケティングに関わるもので、どれもお勧めです。

コトラーのB2Bブランド・マネジメント

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

マーケターのように生きろ

ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学 

アウトプット思考

情報を活用して、思考と行動を進化させる

ピークパフォーマンス

賢い人のとにかく伝わる説明100

競争の戦略

人を動かす

発表用に選ばれたのは、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』、『ピークパフォーマンス』『マーケターのようになれ』の3冊。それぞれの組が工夫を凝らし、何度も練習をし、小道具も用意して、本の魅力を熱く語ってくれました。

禅や発酵料理の体験も

淡路島での研修は、ビジネスだけでなくSDGsやウェルビーイングを考える内容が入っています。私も講義の前後に少し参加させていただきました。人気講師の竹林一先生(京都大学経営管理大学院 客員教授)、発酵料理の講座、禅坊でのヨガ体験など、淡路島の魅力を活かした講座です。ちょうどTV東京の「ガイアの夜明け」が『沸騰!地方の復活劇 ~淡路島がアツイ~』として、撮影に来られていました。

講座後の、受講生の声

  • マーケティング思考について、これまで自分と関連付けて考えることができておらず、どちらかというと避けてきたテーマでしたが、実は商品を一つ選ぶこともマーケティングに関係していることに講義を通じて気づくことができました。
  • まず本を読むこと、そしてグループでそれを共有すること、グループ発表に向けて力を合わせて取り組むことなど、発表の場にのぞむ以前に様々な学びがありました。また、5forceと同様に「伝わる」にはどう表現するのが良いのかということも勉強になりました。プレゼンテーションはもとより、個別のコミュニケーションにおいても生かせる点だと思います。
  • 自社の脅威や強みについて5F分析のフレームワークを使って考えることがなかったため発見が多くありました。どうしてもライバルとなると大手企業を相手に考えてしまいがちですが、大手以外にも新規参入してきてい業者が増えたりしていることで脅威が近くに迫っているということに気づくことができました。その中で自社の強みを考えたときに、いろいろ浮かんでくる自社のサービスがあり、自社への理解が更に深まり、自信を持てるきっかけになりました。

 

ミライフでは、マーケティング、ブランディング、広報、情報収集など、様々な企業研修を行っています。ご興味のある方はお問合せ下さい。

ミライフは、独自の技術やサービスを持つ中小企業・スタートアップをマーケティングで支援します

ミライフは、広報・ブランディング・マーケティングの戦略策定から実行まで伴走支援するマーケティングの外部パートナーです。大阪・京都・兵庫を中心に全国のBtoB企業、中小企業、スタートアップの支援をしています。

マーケティング戦略広報戦略事業戦略などプラン段階から、広報のネタ探しメディアアプローチ取材対応などの実行支援まで、丁寧に柔軟にサポートします、ぜひお気軽にご相談ください。

無料カウンセリング(30分/月3社まで)も行っております。お気軽にお問合せください。