マーケティング相談あれこれ:中小・スタートアップは、まず顧客を探す

「多くの人に知ってもらいたい」、その想いを分解すると・・・

ミライフには、様々な企業からマーケティングや広報に関するご相談が寄せられます。似たような問題を抱える方の参考になるよう、事例をご紹介します。

先日、あるヘルスケア企業のスタートアップから、「広報の相談をしたい」と連絡が来ました。話を聞くと、生活習慣病のリスクを判断する画期的なツールを開発し、特許申請も進めているそうです。

その技術を、多くの人に知ってもらいたい。新聞や雑誌、テレビなどで紹介してもらいたいが、どうすればよいか

すでにそのツールは販売開始され、会社のホームページで紹介されています。詳しくお聞きする中で、マーケティング広報を強化するポイントとして、3つアドバイスをさせていただきました。

1.どの市場で、誰を対象にする?

マーケティングの最初のステップ、Segmentation (市場)、Target(ターゲット顧客)、Positioning(立ち位置やポジション)を、どのように考えているかまずお聞きしました。今回のご相談のツールは、いろいろな可能性があるそうで、まだ決めかねているようでした。「生活習慣病のリスクを判断するツール」といっても、患者個人がお金を払うB-to-Cモデルか、クリニックや病院の先生が使うB-to-Bモデルかによって、ポジショニングの説明や表現は大きく変わります。さらに、企業の福利厚生として社員に使ってもらう(B-to-B-to-C)や、健保組合を通じて企業の福利厚生として社員に使ってもらう(B-to-B-to-B-to-C)ことも、この会社では検討しているとのことです。

どのモデルが有効か、市場規模は十分あるのか、その会社の営業力は十分か、試しながら見極めていく必要があります。

ミライフでは、今まで数々の中小企業やスタートアップのお手伝いをしてきました。その過程で感じるのは、

「顧客のニーズに合わせて自社商品を変える」のではなく

「自社商品のニーズに合う顧客を探す」方が

小さな企業にとっては有効であること。お金も人も限られる中、様々な顧客の声に合わせることは困難です。しかし逆に、中小企業やスタートアップなら、大勢の人に支持されなくても、自社を評価して購入してくれる太い客を少数見つければ生き残れます。そして、その初期の顧客の特性を理解したうえで、だんだんと顧客層を増やしていけば、事業も安定成長できるでしょう。

広報に関しても、可能性のある顧客にリーチできそうな媒体を使い、表現も合わせるべきです。この会社の例でいうと、一般の患者さんを対象にするなら一般の新聞やテレビ、法人を対象にするなら経済紙や業界新聞が有効です。健康保険組合となると、人の紹介や直接のアプローチ、展示会や業界団体経由など、より焦点を絞っていくことになります。

2.リリースするタイミングは慎重に

通常、メディアが紹介するのは「ニュース」です。すでにホームページで紹介されているものは、新しい情報として取材されることはありません。告知のタイミングは、十分に気を付けましょう。開発部や営業の都合で、広報担当者が知る前にすでに製品が世の中に出てしまった、という話をよく聞きます。せっかく画期的な商品であっても、タイミングが悪いとニュースリリースとして出すことができません。広報担当者は、社内の動きを熟知し、発表する時期について事前に協力を求める必要があります。

一方、どうしても社内都合で製品を販売しなければならないという場合、「それはテスト販売である」とみなして、後日、「本格販売」としてプレスリリースするという方法があります(全国の代理店に、大々的に発表しているという場合はダメです)。その場合も、ホームページに製品が掲載されていては、ニュースとは言えません。記者は、記事にする際に会社のホームページや関連サイトを探し、既出情報でないか確認します。表に出す情報は慎重にタイミングを決めましょう。

3.事例や調査結果は、ニュースになる

すでにツールはリリースしているので、どうしたものかと悩むこの会社さんには、事例の発表をすることをお勧めしました。たとえば、このツールを使った人の中で、生活習慣病のリスクはどれくらいあったのか、どのような属性の人が多かったか、競合他社のツールとはどう異なるかなど、数字や実証データとして出すと説得力があります。特に昨今、「コロナの影響」という文脈で分析すると、メディアにも興味を持たれることが多いです。コロナ禍で、在宅勤務をする人が増えています。在宅勤務者とオフィスに通う人の、生活習慣病リスクの比較、残業時間や休憩時間との相関などのデータが出れば、より興味を持たれます。

調査リリースという、広報の方法もあります。自社の製品やサービスに絡めて、社会現象を表す調査結果をリリースすることも有効です。

 

また、「広報を始めたい!」と思った場合、いろいろな切り口があります。

「広報はじめたい!ネタ探し、どうする?」 では、ネタのヒントを紹介しています。

*相談は、該当企業がわからないよう、一部内容を変えています。

 


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マーケティング相談あれこれ:ターゲットの理解

マーケティング相談あれこれ:商品の良さ、伝わってますか?