コロナ回復、ChatGPT、タコハイ・・・2023年のPR業界振り返り

この1年間、PR業界は様々な変化がありました。特にコロナ禍からの脱却が進み、社会が元の活気を取り戻す中、PR活動も一段と活発化していると感じています。

今回は、PR業界の今年のトレンドや個人的に面白かった話題を、独断と偏見で振り返ってみたいと思います。

2023年の振り返り

コロナ禍の克服とPRの進化

2023年3月に公表された日本PR協会の調査によれば、2022年度のPR業界の売上高は推計1,479億円に達し、これはコロナ禍の2020年度の約1,111億円から33%も伸びたとされています。一方で電通が発表した「世界の広告費成長率予測」によると、日本の広告業界の市場規模は2023年は1.0%成長、2024年は2.5%成長とそれぞれ予想されており、広告業界と比較してPR業界の伸び率の高さが際立っています。この驚異的な成長は、業界全体の活気と変革の象徴と言えるでしょう。

コロナ禍で企業や組織は、柔軟性を最大限に発揮し、オンラインを巧みに活用してコミュニケーションの輪を保ってきました。しかしこの1年、我々はその影響から抜け出し、リアルとオンラインをうまく融合した、ハイブリッドなPR活動が特徴的でした。

ChatGPTのPRヘの応用

2023年、PR業界において「ChatGPT」が注目を浴び、その応用範囲が拡大しました。ChatGPTは文章や画像を自動生成する生成AIであり、これがマーケティングや広報業務においても独自の進化を遂げています。

例えば、プレスリリース執筆において、かなりの部分をChatGPTで執筆することができるようになりました。広報担当者はプレスリリースを書くことよりも、プレスリリースに書く内容、つまり広報戦略そのものを考えることに時間を使えるようになったと言えるかもしれません。

またChatGPTを使った新サービスなど、ChatGPTそのものを取り扱ったプレスリリースが多かったことも今年の特徴でした。ミライフで広報ご支援をさせていただただいているインタラクティブソリューションズ様も、ChatGPTを活用した新サービスをリリースさせ、さまざまなメディアで注目を集めています。

日経新聞から広がるメディア掲載:カスハラ対策にもAI活用!「iRolePlay」

今では様々なAIが登場しており、目新しさは薄れましたが、これから本質的なAI活用の時代に入ることと思います。私自身、資料作成の際は、SWOTやPEST、グラフ作成など、マーケティング業務はまずChatGPTにベースを作ってもらい、それを自分でブラッシュアップするという方法がもはや定番になっています。企画アイディアは、まだ私の方が勝っていますが(笑)、ChatGPTにアイディアを聞いてもらって、フィードバックをもらうことで、質の高いものに仕上がります。どんな深夜でも相手をしてくれるというのも、お気に入りのポイントです。笑

「タコハイ」に見る、説明しないことによる興味喚起

今年も様々なヒット商品が生まれましたが、PRの視点から見ても非常に興味深い成功事例の一つとして、サントリーの「タコハイ」を取り上げたいと思います。その謎めいた商品名からして、どんな味がするのかを完全には把握できないという特徴が、商品の興味喚起に繋がっています。テレビCMでは田中みな実さんが「タコハイってなに味なの?」という質問で視聴者と対話し、飲んでみる気持ちを引き出す戦略が成功の一因でしょう。

タコハイ

通常のマーケティング戦略では、新商品を広く知ってもらい、理解してもらうことに尽力します。しかし、「タコハイ」は逆に商品の特徴や味を明確に説明せず、謎に包まれたまま販売されました。この逆張りのマーケティングが功を奏し、年間250万ケースの当初目標を軽々と超え、発売から8カ月で500万ケースに到達するなど、大ヒットを記録しました。

「タコハイ」の成功は、説明を控えることが逆に商品への興味を引き立て、試してみる気持ちを生み出したことが大きな要因です。視聴者や消費者は自ら味を想像し、商品に対する好奇心が高まりました。これにより、商品を手に取る行動が促進され、結果として大きな市場反応を生んだのです。

ちなみに、私はお酒は一切飲めないので、まだ謎のままです。笑

SNSによる評判を逆手に取った「匿名宝飾店」

ブランド情報を一切明かさないジュエリーショップ「匿名宝飾店」が、東京渋谷で9月8日から24日までの期間限定でオープンしていました。ジュエリーの試着や撮影、購入のほか、休憩エリアも併設されており、無料のオリジナルドリンクを楽しむこともできたようです。

その後、同店の正体は、ジュエリーブランド「4℃」であることが明らかになりました。同ブランドを展開するエフ・ディ・シィ・プロダクツが発表したところによると、ブランド名を排除することで、ジュエリーショップにありがちな気疲れや緊張感を開放し、ジュエリーと向き合う時間がもっと楽しくなる、新しい店舗体験を提供するとしていました。

「4℃」は数年前からX(旧Twitter)で、プレゼントを贈ることに不慣れな男性が選びがちなアクセサリーとして揶揄されていました。そこで、「匿名宝飾店」として新しい店舗を立ち上げ、ブランドの正体を隠すことで予想外の驚きを提供し、SNS上での話題性を広げるユニークな戦略を採用しました。「4℃」というブランドがもつイメージを逆手に取り、新たな顧客層の獲得に成功しました。今後のマーケティング戦略において、このような逆転のアプローチは一つの参考となります。

4℃社長「SNSイメージから離れてジュエリー見て」名前隠した「匿名宝飾店」営業

 

2023年も残すところあとわずか。2024年はどんなトレンドやヒットが生まれるのか、今から楽しみにしています。引き続き2024年もどうぞよろしくお願いします!

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