最新トピックス
広報・PR活動における生成AIの最新活用法:ChatGPTを使った効率化と品質向上
企業のPR担当者は、広報企画の立案からプレスリリースの作成、最近では公式SNS運用まで、膨大なタスクをこなさなければなりません。しかし、限られたリソースの中でクオリティの高いアウトプットを求められるため、時間や労力が足りないと感じることも多いでしょう。
そんな中で注目されるのが生成AIの活用です。生成AIは、文章作成やアイデア出しといった業務の効率化に大きく貢献するだけでなく、新しい視点をもたらすことで、アウトプットの質を高めることができます。
実は約1年前に書いた私の記事「コロナ回復、ChatGPT、タコハイ・・・2023年のPR業界振り返り」でも、2023年のPR業界のトレンドとして、ChatGPTをPRに応用できるようになったと紹介しています。この記事から1年が経過し、ChatGPTの精度も高まっており、それに伴い私がChatGPTを利用する頻度も高まっています。と同時に、どのような場面で使うと効果が高いのか、どのような場面では注意が必要なのか、といったことも肌感覚で理解ができてきました。
本記事では、そのあたりの経験を踏まえ、特に効果的な「①プレスリリースの作成」「②アイデアブレストの補助」「③SNS投稿案の生成」の3つの活用シーンを詳しく解説し、プロンプト例や実際の活用事例を交えて具体的にご紹介します。
①プレスリリースの作成
プレスリリースは広報活動の柱となる重要なツールですが、その作成には意外に時間がかかります。一方で生成AIは型さえ決まっていれば、一瞬で文章を作成することができます。生成AIを使うことで以下の点で効率化が図れます。
- 効率化:アイデアを箇条書きで伝えるだけで、プレスリリースの基本構成に沿った文章を生成。
- 表現の幅:生成AIが複数の文章バリエーションを提案してくれるので、より魅力的なタイトルや文章表現を選べる。
- 明確さ:複雑な内容をわかりやすい文章に簡潔化。専門用語の多い内容でも、より親しみやすく仕上げられる。
プレスリリース作成のプロンプト例:
以下の情報を基に、プレスリリースのドラフトを作成してください。構成は、①タイトル、②概要、③本文(冒頭3段落程度)、④会社情報にしてください。トーンはプロフェッショナルで、メディア向けに簡潔かつインパクトを持たせてください。
発表内容: 『エコフレンドリーな新商品「〇〇」の発売』
主な特徴: ①100%再生可能素材、②環境に優しい製造工程、③消費者の手軽さに配慮したデザイン。
発売日: 2025年3月1日
ターゲット顧客層: 20代~40代の環境意識が高い消費者
背景: 環境問題が注目される中で、持続可能性をテーマにした新たな製品を提供。
目的: 環境に配慮したブランドイメージを訴求し、新たな市場を開拓する。
競合との差別化ポイント: 業界初の完全リサイクル対応パッケージを採用。
その他: 製品画像や実績データは別途提供予定。
生成された文章例:
タイトル: 「業界初!完全リサイクル対応パッケージの新商品『〇〇』、2024年3月1日発売」
概要:
株式会社〇〇(本社:東京都、代表取締役:〇〇〇〇)は、2025年3月1日より、100%再生可能素材を使用した新商品『〇〇』を全国で発売いたします。本製品は、環境に優しい製造工程と持続可能なデザインを特徴とし、エコフレンドリーなライフスタイルを支援することを目的としています。本文(冒頭3段落):
環境意識が高まる中、株式会社〇〇は持続可能な未来を目指し、新商品『〇〇』を開発しました。本製品は、業界で初めて完全リサイクル対応のパッケージを採用し、製造工程でも二酸化炭素の排出量を従来比で30%削減しています。
さらに、使いやすさを重視したデザインにより、環境に配慮しながら日常生活に簡単に取り入れられる製品として、多くの消費者にとって価値ある選択肢を提供します。
この製品は、地球環境に対する当社の長期的なコミットメントの一環であり、発売を通じて環境に優しい消費の拡大を目指します。
タイトル案作成のプロンプト例:
以下の情報を基に、注目を集めるプレスリリースのタイトルを5つ提案してください。ターゲットは20代~40代の環境意識が高い層で、マーケティング視点を取り入れてください。
製品名: 『〇〇』
特徴: 100%再生可能素材、完全リサイクル対応パッケージ、環境負荷削減デザイン。
発売日: 2025年3月1日
強調したいポイント: 業界初、環境配慮、手軽さ。
目的: ブランドイメージ向上、新たな市場開拓。
生成されたタイトル案:
「環境を守る新常識!完全リサイクル対応の『〇〇』で未来を変える」
(エコを重視しつつ、製品が未来のスタンダードになるイメージを強調)「100%再生可能素材使用!『〇〇』で始めるエコな暮らし」
(ターゲットがすぐに行動に移しやすいシンプルな訴求)「サステナブルデザインの最前線!業界初『〇〇』誕生」
(業界初というキーワードで注目を引きつけ、デザインの進化をアピール)
生成AIの不得意な点
しかし、以下の点については生成AIが不得意な領域なので、注意が必要です。一見完璧に見えますが、質はあまり高くありません。あくまで、自分の作業の一部を担ってくれているというスタンスで、役割分担して付き合うことが大事だと思っています。
- 事実確認の不足:生成AIは入力された情報を基に文章を生成するため、事実の正確性は人間が確認する必要があります。
- ニュアンスの調整:ブランドイメージや微妙な表現は、人間の感性で調整する必要があります。特に日本語のような細かいニュアンスを含んだ表現は苦手なようです。
- セキュリティ面:セキュリティ面では不安があるため、発表前の情報や機密情報を含む場合は、伏せて入力する方が望ましいです。
②アイデアブレストの補助
広報企画を立てる際には、企業や製品の強みを掘り下げ、さらにそれを世の中のトレンドに結びつけるアイデアが求められます。生成AIを使うことで、以下の点が効率化できます。
-
- プレスリリースの切り口を発掘:企業の魅力やニュース性を効果的に表現する方法を提案。
- トレンドを反映:メディアが注目するトピックや時事的なテーマと掛け合わせた提案が可能。
- 多角的な視点を提供:一つのテーマに対して複数の切り口を考えることで、新しい発想が生まれる。
プレスリリースの企画作成のプロンプト例:
以下の企業情報を基に、広報視点で注目を集めるプレスリリースの切り口を5つ提案してください。
業界: 食品メーカー
強み: 地域特産品の使用、環境への配慮
目的: メディア露出を増やすこと。
生成された案:
地域特産品で地域経済を活性化する新商品発表
地元農家との連携を強化し、地域特産品を使用した新商品ラインナップを発表。このプロジェクトにより、地元経済への貢献を目指す企業姿勢をアピール。プレスリリースでは、具体的なコラボレーション事例や生産者の声を盛り込み、地域密着型のストーリー性を伝える。地元の味を世界へ届ける:輸出プロジェクトをスタート
地域特産品を使用した商品の海外展開を本格化。日本の伝統的な味を世界中の消費者に届けるプロジェクトを発表。プレスリリースでは、ターゲット市場やグローバル戦略の概要を明確にし、ブランドの国際的な成長を強調。健康志向に応える新商品:〇〇(商品名)の開発秘話
健康志向の消費者ニーズに応えるために開発した新商品の誕生ストーリーを紹介。開発の背景には、社内の新規プロジェクトチームの挑戦があり、社員インタビューや開発過程を詳しく伝えるプレスリリースに。
生成AIの不得意な点
一方、以下の点では懸念があります。
- 実現可能性の判断:提案されたアイデアが現実的かどうかを判断するには、人間の視点が必要です。
- トレンドの最新情報:生成AIが持っている世の中の情報にはタイムラグがあるため、最新トレンドの確認はユーザー側で補う必要があります。
今の段階では、さすがに自分で考えた方がいい案が出ますが(笑)、0から自分で考えなくても、出てきたものをブラッシュアップするという方法が使えるので便利です。企画の際には、リサーチにものすごく時間を使いますが、それが早く終わること、散らばった情報を端的にまとめられることは大きなメリットです。ChatGPTの「クセ」を理解し、上手く取り入れる企業が増えてきました。
③SNS投稿案の生成
インスタグラムやXなどのSNS運用も、広報担当者の役割としている企業も多いです。SNS運用では、短時間で多くの投稿案を考え、ブランドのトーンや目的に合ったメッセージを発信する必要があります。生成AIは以下の点で役立ちます
- 効率的なアイデア出し:簡単なプロンプトで複数の投稿案が生成可能。
- ターゲットに合ったトーン設定:ブランドや商品に応じたトーンやスタイルで提案。
- ハッシュタグの提案:トレンドや商品特性に基づいた適切なハッシュタグを提案。
Instagram投稿案作成のプロンプト例:
以下の商品情報を基に、Instagram投稿案を3つ作成してください。
投稿で訴求したいことは、忙しい20代女性が日常の中で簡単に美容ケア
を取り入れられることです。トーンは親しみやすくポジティブにしてください。
商品: 美肌ドリンク『〇〇』
特徴: オーガニック成分、美容効果、美肌促進
生成された投稿案:
「🌿1日1杯で内側から輝く美肌ケア🌟 忙しい毎日でも『〇〇』なら簡単!オーガニック成分たっぷりの美容ドリンクで、肌も心もリフレッシュしませんか? #美肌習慣 #オーガニックライフ #時短美容」
「✨あなたの美肌時間は1分でOK!✨『〇〇』は、オーガニック成分100%で美容効果バツグン。朝のルーティンに加えるだけで、肌がイキイキする感覚を体験してみてください💖 #簡単美容 #美肌ドリンク #毎日輝く」
「忙しい日々を送るあなたに朗報💡 美肌をサポートする『〇〇』で、短時間でも簡単に美容ケアを!手軽に始められるから、続けやすさも◎ #内側から美肌 #オーガニックドリンク #美容好き」
ただし、このような投稿が心に響くかと言われると、また別の話ですね。繰り返しになりますが、このままでは出せないので、これを元にブラッシュアップが必要です。感情やオリジナルの情報を追加することで、自然で良質なコンテンツに近づけます。
ちなみに、美容系の商材の場合は、私は「この文章の中で薬機法、景表法に抵触する表現を指摘し、修正案を出してください」と伝え、怪しい文言を削除したり、表現を変えたりもしています。
ちなみに、ご紹介した3つの活用法ですが、すべて無料版で可能です。ただし、有料版を使用することで、よりすピーディーかつ、長い文章の入力・出力が可能になります。私はせっかちなので、通常版だとレスポンスが遅くて待てません。笑 今回は一番利用者が多いChatGPTを例に出しましたが、私はbingチャットも併用し、セカンドオピニオンをもらうという使い方もしています。
おわりに
生成AIの導入は、広報業務の効率化に間違いなく役立つツールです。特に、これまで時間や労力がかかっていたアイデア出しや文章作成のプロセスが大幅に効率化される点が最大のメリットです。例えば、アイデアに行き詰まった時に生成AIに対して壁打ちをすれば、自分では思いつかない視点や切り口を発見できることがあります(最近は音声でコミュニケーションができますので、本当に相談しているみたいな気分にもなります)。また、複数のアイデアを瞬時に出してくれるので、比較検討しやすく、より良い選択が可能になります。
とはいえ、生成された内容をそのまま使用するだけでは、期待した結果を得られない場合があります。人間の視点と感性で、世の中のトレンドや企業のブランドイメージ、ターゲットに合うかどうかを確認しながらブラッシュアップすることで、よりよいものができあがります。
広報業務に生成AIを使う際に効果を最大化するコツ:
- 生成AIの得意分野: 効率化、視点の多様化、文章の生成。
- 不得意分野: 事実確認、ニュアンスの調整、トレンドのリアルタイム性。
- 効果を高める方法: 人間が最終的な編集や確認を行うことで、生成された内容を洗練させる。
ミライフは、独自の技術やサービスを持つ中小企業・スタートアップをマーケティングで支援します
ミライフは、広報・ブランディング・マーケティングの戦略策定から実行まで伴走支援するマーケティングの外部パートナーです。大阪・京都・兵庫を中心に全国のBtoB企業、中小企業、スタートアップの支援をしています。
マーケティング戦略や広報戦略、事業戦略などプラン段階から、広報のネタ探し、メディアアプローチ、取材対応などの実行支援まで、丁寧に柔軟にサポートします、ぜひお気軽にご相談ください。
無料カウンセリング(30分/月3社まで)も行っております。お気軽にお問合せください。
ミライフでは、ニュースリリースについて、より効果的になるように改善のご提案をするだけでなく、どのようなニュースにするか企画段階からご一緒し、メディアアプローチまでトータルで伴奏支援しています。