ネット上の炎上から学ぶ:事例から導く対策と対応方法

ネット上での炎上は企業や個人にとって大きな脅威です。SNSにより何事も短時間で拡散する情報社会において、一度火がつくと一気に広がり、その影響は計り知れません。今回は、なぜ炎上が起こるのか、他社の事例から学ぶポイント、そして炎上を未然に防ぐための対策と、もし炎上してしまった場合の適切な対応方法について探っていきます。

ネット炎上のイメージ

なぜ炎上したのか、炎上事例を知ることで感覚をわかろう

炎上は、主にネット上で批判や非難が急速に拡散し、大きな波紋を広げる現象です。企業や個人にとっては、信頼性や評判の損失だけでなく、経済的な損害も生じる可能性があります。

誹謗中傷対策センター(ネクストリンク株式会社)によると、2023年上半期の炎上件数は去年と変わらない勢いで発生しているそうです。メディア別ではX(旧twitter)での炎上が多い傾向で、全体の半数を占めています。この理由として、SNSの中でも利用者数が多いことや、インスタグラムのように写真を用意する必要がなく手軽なためだとしています。また匿名性が高いことも炎上しやすい理由だと思われます。

ネット炎上事例まとめ(2023年上半期)
https://www.kesu.jp/articles/research/article-20230719/

ホテルのプロモーション動画による炎上事例

外資系ホテル「ヒルトン」が11月9日に公開した動画プロモーションが炎上しました。私も公開直後にこの動画を見ましたが、一瞬フェイク動画かと思うほど内容がひどく、なぜヒルトンがこのような動画を配信したのか首をかしげてしまいました。
動画の内容はこのようなものです。温泉旅館にやってきたカップル。フロントでいきなり「次にご入浴は5時から11時までになります。ご夕食は6時にお部屋にお持ちいたしますので、必ず9時までに食べ終えてくださいませ。朝食は7時から10時まで、ラストオーダーは9時半。8時ごろは大変混み合います。チェックアウトは朝10時、こちらが部屋の鍵になります」と言われて面食らってしまう。一方でヒルトンが展開する「コンラッド大阪」では「ごゆっくりされるなら、ディナーの時間をずらしますよ」と柔軟な対応を受ける・・・。

一見して比較広告だと分かるものですが、ヒルトンという世界的なホテルチェーンが、地方の旅館を一方的に見下してディする内容に「上から目線」を感じてしまいました。しかも旅館の全部が全部このような対応はしないわけで、あまりにもステレオタイプだったのだと思います。そして私がゾッとしたのは、動画の企画から制作、公開まで何人もの目を経ているはずなのに、誰も違和感を指摘することなく、世の中に出してしまった体制にあります。

ヒルトンの「旅館見下し動画」大炎上も当然の理由
https://toyokeizai.net/articles/-/715888

企業の公式SNSにおける炎上事例

繊維メーカー「アツギ株式会社」の炎上も記憶に新しいです。同社のレッグウエアブランド「ASTIGU(アスティ―グ)」の公式Xが11月17日に不適切な投稿をしました。「黒タイツだと芋くさくなる人、爪先だけ冷えて凍っちゃう人、この裏技に注目!ASTIGUのタイツとストッキングで試してみてね!」という文言を投稿し、黒ストッキングの着用を勧める投稿でした。

これに対しフォロワーなどからは「黒タイツを使っている人に失礼」「アツギはいつもルッキズム推進してるな」などの指摘が相次ぎ、アツギは当該ポストを削除し「広告表現に関するお詫び」を発表するに至りました。

実は同社では3年前の2020年11月にも、X(当時はtwitter)で炎上を起こしました。11月2日の「タイツの日」に合わせて、露出度の高い女性のイラストを投稿、「性的な描写を連想させる」として炎上したのでした。今回の炎上と前回の炎上とに直接の因果関係はないかもしれませんが、今回の炎上に対して前回の炎上と関連付けて捉える人もいたようです。

アツギのタイツ企画炎上「性的で怖い」 SNSに潜む罠
https://www.asahi.com/articles/ASNC46FQKNC4UTIL00Z.html

炎上を防ぐための3つのポイント

このように、他社の炎上事例を分析することは、同じ轍を踏まないために重要です。共通する要因や炎上の発端となる出来事を把握することで、自らの戦略を見直す手がかりとなります。ここからは、炎上を防ぐためのポイントをいくつかご紹介しましょう。

(1)ターゲットに近い人に意見を聞く
炎上を防ぐ第一歩は、ターゲット層の声を正確に捉えることです。フォーカスグループやアンケートを通じて直接顧客の声を聞くことや、ペルソナを作ってターゲット層の目線に成りきって自社のSNSを見渡してみることも良いと思います。このように、ターゲットの感性や価値観を理解することで、意外な問題や不満点を見逃すことなく、事前に改善策を講じることができます。

(2)社内でなるべく多くの人にフィードバックをもらう
社内の意見交換が炎上を予防する鍵となります。社内の年齢性別の異なるさまざまなスタッフの視点で意見を出してもらいフィードバックを得ることで、問題が発生する前に改善点を洗い出すことが重要です。また社内に限らず、老若男女、さまざまな職業、多様な人種・国籍・宗教の人に事前に意見を聞くことができるとさらに良いですね。

(3)ガイドラインを設ける
事前のリスク管理とクライシスコミュニケーションの策定は、炎上を未然に防ぐために欠かせません。SNSの場合は事前に運用ガイドラインを作ったり、危機管理プランを策定したりと備えておくことで、いざ炎上の兆しが見えた場合の対応を落ち着いて行うことができます。

もし炎上してしまったら・・・二次災害を起こさないために

注意をしてはしても、時として炎上が起こってしまうことがあります。その場合には以下の方針に沿って対応することで、大炎上しないように抑えることができます。

(1)迅速で透明性のある対応が必要
炎上が発生したら、速やかな対応が求められます。ただし、急ぐだけでなく、透明性と誠実さをもって事態を収拾し、信頼を回復する努力が必要です。

(2)SNS上では冷静に、感情的にならずに対応
SNS上での炎上には冷静な対応が必要です。感情的な反応や口論は避け、客観的かつ誠実な姿勢で事実を伝え、謝罪と訂正を心掛けましょう。

(3)一貫した情報管理と、対話が大切
炎上は波及しやすいものです。いざ炎上してしまった場合には、場当たり的な対応はせず、一貫した情報管理と対話を通じて、二次災害を最小限に抑えるよう努めましょう。さらには長期的なイメージ回復策も検討しましょう。

ネット上の炎上は、現代の企業や個人にとって大きな脅威となっています。情報が瞬時に拡散するSNS時代において、炎上が一度起きればその影響は計り知れません。しかし、なぜ炎上が起こるのか、他社の事例から学び得た知識を基に、未然に炎上を防ぐための対策と、もし炎上してしまった場合の適切な対応方法を考察してきました。

炎上は避けられないかもしれませんが、その先にある学びと成長が、持続可能なオンラインプレゼンスの構築につながることを肝に銘じましょう。

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