伝えるだけじゃない。体験で心を動かす情報発信──大阪・関西万博レポート

2025年4月、大阪・関西万博が、ついに開幕しました!
ミライフは関西が拠点、身近に今回の万博に関わっている方々も多く、どこをみてもミャクミャクだらけの大阪の街で、開幕を楽しみにしていました。西山も森も通期パス(会期中、何度でも入場できるパス)で何度も通う予定ですし、さらに、西山は万博の会場案内ボランティアでもあります。

仕事としても、西山や森が取材した関西のスタートアップや中小企業が出展していたり、西山が事務局長を務めるNPO法人生態会の「関西スタートアップレポート22号」で万博特集を組んでいたりと、様々に関わっています。

本記事では、開幕直後の大阪・関西万博で感じた「知っているから深まる体験」と「知らないから広がる体験」の違い、PR・マーケティング視点での情報発信のヒントを探ります。

まずはフランスパビリオン!「愛」をテーマにした文化体験

最初に訪れたフランス館、メインテーマは「愛の讃歌/Hymne à l’amour」です。
館内に入ってすぐの展示は、ジブリの「もののけ姫」をモチーフにした巨大なゴブラン織のタペストリーと、ノートルダム大聖堂のキマイラ像。昨年、パリの展示会Viva Technologyでフランスパビリオンを紹介するプレゼンテーションを聞き、ずっと楽しみにしていたので、ゆっくり足を止めて鑑賞し深い感動を覚えました。一方、多くの来場者は、暗い室内で小さな説明文に気づくことなく足早に通り過ぎていきました。

フランスパビリオン_タペストリー

この光景を見て、「知っているから、わかる」「知らないから、わからない」ということではなく、自分がフランスに興味を持っているから、事前に情報を持っているからこそ体験が深まったのだと改めて気づきました。もちろん、ほとんどのパビリオンについて、私は何も知りません。文脈を知っているかどうかで、同じものを見ても受け取り方が大きく変わることを、万博の最初の展示で早くも実感したのでした。

館内には、いくつものロダンの彫刻、ルイ・ヴィトンのトランクに囲まれた空間、ディオールのドレスの展示など、様々な見どころがありましたが、特に心に残ったのは、フィナーレのインスタレーションです。

沖縄・首里城とパリ・ノートルダム大聖堂の再建、モン・サン・ミッシェルと宮島の厳島神社といった「文化の共通点」が織り交ぜられた展示。距離を超えて共鳴する文化の力に深い感動を覚えました。

オランダ・スイスのパビリオン:万博ならではの非日常体験

オランダパビリオンは、「水」をテーマにしたインタラクティブな展示でした。柔らかく発光するボールを手に館内を巡る演出は遊び心に溢れ、見るだけではないインタラクティブな体験を通じて、テーマを体感できる仕掛けとなっていました。出口付近にあるカフェエリアでは、オランダ名物のストロープワッフルがとても美味しかったです!

オランダ名物のワッフル
キャラメルたっぷりの温かいワッフルで締めくくったオランダ体験、印象的でした!

スイスパビリオンでは、絶景が話題の「ハイジカフェ」に入れました。万博の大屋根リングを見晴らす、自然光が心地よいカフェで、素晴らしい空間でした!

サウジアラビアパビリオン:国のイメージを刷新するプレゼンテーション

砂漠のオアシスを思わせる素晴らしい造形美のサウジアラビアのパビリオンでは、未来に向けた国の姿が、豪華な展示で紹介されていました。

例えば、「サウジ・ビジョン2030」に基づいた未来型都市が、美しい映像とともに展示されていたり、美しいサンゴの海の紹介とともに、3Dプリンターを活用したサンゴ再生プロジェクトの説明があったりと、これまであまり身近に感じることのなかったサウジアラビアのイメージが更新される体験となりました。

サウジアラビアパビリオン外観

サンゴ再生の研究者
研究者が3Dプリンターで作られたサンゴモデルを手に説明してくれました。万博の後に、沖縄で実証実験を予定しているそう。

サウジアラビアが描く未来像に初めて触れ、これまで抱いていたイメージが大きく塗り替えられるような感覚を覚えました。万博だからこそ可能な、あまり馴染みのない国の「新たな姿」を五感で感じる貴重な体験となりました。

GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION:世界観を体験し、コンテンツを“推す”気持ちを共有

国内パビリオンはどれも人気が高く、予約必須のところが多いため、まだ体験できていませんが、バンダイナムコグループによる「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」は当日予約に挑戦し、親子で体験できました。

最新技術を駆使して、ガンダムの世界を立体的に表現した展示空間です。ネタバレなしで体験する方が絶対に楽しめるので詳細は控えますが、世界観に深く没入する圧倒的な体験により、子どもの頃から大好きだったガンダムへの思いが一層強くなったのを感じます。

パビリオン体験後、館外にそびえるガンダム像を改めて見上げたとき、それは単なる造形物ではなく、物語と重なり合う「特別な存在」として胸に迫ってきました。体験を通して、好意を超えた「このコンテンツをもっと応援したい」「誰かと共有したい」という気持ちが湧き上がったのです。

近年、ガンプラやアニメ作品を通じた子ども向けプロモーションが積極的に展開されています。実際、私の小学生の息子もショッピングモールでのガンプラ無料配布をきっかけにガンダムに夢中になり、このパビリオンでも親子で同じ感動を分かち合うことができました。

世代を超えてコンテンツを“推す”気持ちを共有できる──優れた作品が持つ圧倒的な力を体感する機会となりました。

ガンダム像

体験から共感へ。万博で見えた情報発信の新しいカタチ

今回の万博を通じて感じたのは、「知っているから深まる体験」と「知らないから広がる体験」、そのどちらにも大きな価値があるということです。

フランスパビリオンでは、事前のストーリーを知っていたからこそ感動が深まり、サウジアラビアパビリオンでは、体験を通じて国のイメージが変わりました。ガンダムのパビリオンでは、親子で感動を共有しながら世界観へ没入し、大好きなコンテンツへの「推したい」という感情をさらに強くしました。

万博を通じて、情報発信においては単に「伝える」だけでなく、その先の体験までを設計し、感情を動かすことが重要だと実感しました。それがブランドにとって重要な「体験価値」を生み、共感や行動へとつながっていきます。万博という巨大な体験空間は、これからの情報発信とマーケティングのあり方に、多くの示唆を与えてくれました。

他にも、地元・大阪での開催だけに、仕事で直接関わってきた企業やスタートアップが万博で活躍していることも、大きな喜びです。特に、大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジには、生態会で西山や森が取材した株式会社EX-Fusion(5月出展)光オンデマンドケミカル株式会社(7月出展)など、関西の注目スタートアップや中小企業が期間限定で多数登場します。

会期中、まだまだ何度も足を運び、さらに色々な気づきを得るつもりです。皆さんも、大阪・関西万博を思いっきり満喫してください。

ミライフは、独自の技術やサービスを持つ中小企業・スタートアップをマーケティングで支援します

ミライフは、独自の技術やサービスを持つ中小企業・スタートアップをマーケティングで支援します。マーケティング戦略や広報戦略、事業戦略などプラン段階から、広報のネタ探し、メディアアプローチ、取材対応などの実行支援まで、丁寧に柔軟にサポートします。

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