「Google Zero」の衝撃とPRの変革──“AIに拾われる広報”とは

こんにちは、ミライフの森です。最近、カナダのニュースサイト「The Logic」のコラムを読みました。

「What happens to the news business when people stop clicking?」
https://thelogic.co/comment/ai-journalism-letter-editor/

Googleの検索結果に生成AIの回答が表示されるようになり、リンク先へのクリックが激減している「Google Zero」現象と、ジャーナリズムにもたらす影響について問題提起した記事です。広報PR担当として、同時代のメディアが抱いている危機感を理解するうえでご一読をお勧めします。

参考:「生成AIの記事無断利用、著作権法に「隙」 探る最適解」(日経新聞・朝日新聞が2025年8月にアメリカの生成AI企業を提訴。日本メディアも「ゼロクリック」検索の影響を深刻に捉えています。)

これらのメディアの主張を読み、広報もAIの進化に対応すべきと強く感じました。この記事では、「Google Zero」の影響が避けられないなか、AIに引用される情報発信とはどういうものか、ニュースリリースを例に考えてみたいと思います。

VIVATECH2025 AI 展示エリア
2025年6月もミライフ森と西山が参加したヨーロッパ最大のスタートアップ展示会「Viva Technology 2025」(パリ開催)のAI Avenueの様子。今年もメインテーマはAIによるイノベーションでした。今年のVivatech関連の過去記事はこちら

「AIに拾われる」とはどういうことか?

公開されたニュースリリースやWeb、資料から、AIが情報を読み取り、要約・再構成し、引用元として紹介するケースが増えています。これは、情報の新たな“読者”としてAIが現れたということです。記者や顧客はもちろん、人間ではないAIにも伝わるように意識していく必要があります。

AIが好きなのは、どんなニュースリリースか?

LLMO/GEO(生成AIに理解・引用されるために、Webサイトの構造や情報を整備・最適化する手法)の解説ページによれば、AIが引用しやすいコンテンツには膨大な条件があります。そのなかで、ニュースリリース発信において意識できそうな条件には、以下があります。

  1. 情報の信頼性
    E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の可視化、専門家の監修コメントや企業代表者の発言、固有名詞、日付、数値などの明示、著者情報の記載
  2. 独自情報の公開
    “一次情報”として引用できるよう、オリジナル調査データ、レポート、事例などの独自情報を含める
  3. 明確な文体設計
    1文1意、主語・述語の明確化、冗長表現の排除、引用されやすい語尾、出典や裏付けの明記など

情報の信頼性は、ニュースリリースでは必須のことですね。さらに、データやファクトをしっかり含めて、AIに認識されやすい明確な文体は、常に実践したいです。この条件を満たせば、AIだけでなく、メディアや顧客にも伝わりやすいコンテンツになるはずです。

参考:Hunny Inc.:LLMO解説

人に届けるには、事実だけでなくストーリーや共感が大事

現状、生成AIは検証可能な情報を優先して取り込み、回答に反映します。一方で、満足・安心・喜び・などの感情便益は、AIの引用では削ぎ落とされがちです。AIに“拾われる”観点ではファクトが有利なのです。

ただし、私たちが伝えるべき相手はいつでも人です。人を相手にするのであれば、事実やスペックだけではなく、感情便益を伝えることは引き続き大切です。

ニュースリリースでも、満足度調査やユーザー企業事例とともに、感情便益を伝えることができれば、人にとっても納得感が高まり、AIは調査や事例など事実を引用できます。

AIにも人にも伝わるニュースリリースへ

今後のニュースリリースに必要なのは、

  • AIが正確に理解できる構造(出典・時系列・数値・責任所在)
  • 人に伝わる文脈(ストーリーや感情便益)

の両立です。メディアだけでなく幅広いステークホルダーに向けた発信の質を高め、AIにも引用されやすい設計を意識しなくてはなりません。広報PRとして、ジャーナリズムへの敬意を忘れず、信頼できる一次情報を発信していきたいですね。

PR EXPO 2024に見るPRの変化

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参考リンク

(リンクは全て2025年8月時点)